
最近テレビやニュースでよく聞く『老々介護』という言葉。
まだまだ自分には関係ないと思っていたら、実は僕の母と祖母の関係が老々介護でした。
65歳以上の高齢者が、65歳以上の高齢者を介護していると老々介護らしいのですが、僕の母は65歳、祖母は90歳のため、この関係に当てはまります。
老々介護なんて言葉を見ると、壮絶で、きつくて、精神的にも体力的にも常にギリギリの状態の介護を勝手にイメージしていましたが、母と祖母の介護の様子を見ると実際には想像しているほど『壮絶を極める介護』というわけではないようです。
老々介護といっても、介護する側される側の状況により千差万別なのが介護。
今回は母と祖母の介護の様子を1つの例として記事にしてみました。
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現在の母と祖母の老々介護
- 母:65歳
- 祖母:90歳、要介護1
- 金曜日~日曜日の3日間は特別養護老人ホームにてショートステイ
- 月曜日~木曜日の4日間は、母が車で10分ほどの祖母宅へ通い介護
簡単に説明すると上記が現在の状況です。
当初は1週間、ほぼ毎日のように母が祖母を介護していましたが、数か月前から、決まった期間家族を預かってもらえる「ショートステイ」と呼ばれる短期の介護を特別養護老人ホームへお願いしています。
祖母は現在90歳ですが、大きな病気をすることもなく年齢の割には比較的元気だと思います。
そのため、基本的な生活は1人で行うことができ、食事、トイレ、入浴も介助の助けは必要ありません。
それでもやはり90歳という年齢もあり、日常生活全てを1人でこなすのは大変なので母が祖母の家へ行き、食事や洗濯、掃除など身の回りの世話をしています。
その他に病院への送り迎え、食料や日用品の買い出しなども日々行っています。
介護とはいえ、これだけ見るとそれほど大変ではないような気もしますよね?
確かにテレビやニュースで報じられる程の壮絶的な介護の状況ではないかもしれません。
それでも毎日の介護は精神的にじわじわとやられていきます。
親の介護とストレス
介護のストレスといえばなんでしょう。
あくまで介護未経験者の想像ですが、排泄や入浴の介助、認知症の高齢者のお世話などでしょうか。
逆に言えば、日常生活がある程度できる高齢者のお世話であれば、それほど大変ではないような気もします。
では実際母がどうなのかというと、残念ながら日々ノーストレスではなさそうです。
物忘れが徐々に多くなっていく祖母
祖母は認知症ではありませんが、90歳という高齢のため物忘れは徐々に多くなっています。
そのため、何か予定があるときは何度も確認が必要。
それでも朝に電話をすると、すっぽりとその予定を忘れていることもしばしば。
挙句の果ては、今日はその気分じゃないと断ってくるから大変。
その度に母は、その予定がなぜ必要なのかを丁寧に説明し、時間をかけて説得しなければなりません。
1日2度の祖母宅への訪問
母は毎日午前と夕方の2回祖母宅へ訪問し状況を確認しています。
ショートステイが無かったころはこれを毎日。
常に頭の隅に祖母のことがある状態で過ごさなければならず、精神的に休まることがありません。
耳が遠くなり会話が大変
高齢になり耳が徐々に遠くなっていく祖母。
日常の会話はまだなんとか大丈夫なのですが、それでも常に大声気味で話さなければならずこれが結構ハード。
何気ない会話でさえ大声を張り上げなければ理解してもらえないこともあり、傍目から見ると、まるでこちらが怒っているようにさえ見えるかもしれません。
判断力の低下による無理な行動や危険な行動
自分の肉体の衰え具合を正しく理解できていないため、または特定の行動をしたときに起こるその後の肉体への負担を理解していないため、時に無理な行動や危険な行動をしてしまいます。
少し前になりますが、祖母の家の裏には川が流れているのですが、何故かその川で祖母が洗濯をしようとしたことがありました。
しかも冬で足元が悪い状況なのに夏用の靴を履いて...
川は残念ながら凍っていて利用できなかったと笑っていたようですが、万が一を考えるとゾッとしてしまいます。
また時には、1人で近所を散歩していて歩きすぎてしまい、その後数週間、足が腫れて歩けなくなったこともあります。
上記のようなことが起きると、何が嫌かって祖母を怒らなければならないこと。
もちろん怪我も心配ですが、もう2度と同じことをして欲しくないので注意しなければなりません。
始めは母もゆっくり丁寧に「危ないから辞めてね」と祖母に話しますが、祖母も祖母なりの理由や言い訳を言ってきます。
そうするとやはり親子ということもあり、徐々にエキサイト。
結果祖母を怒ってしまうことがあり、後で怒ってしまったことを後悔。
祖母宅を訪問する度にこの流れが続くと、心配と苛立ちと後悔とで、精神的なストレスはかなり高くなってしまいます。
特別養護老人ホームで起きるトラブルへの対処も大変
祖母がショートステイでお世話になっているのが特別養護老人ホーム。
高齢者がたくさんいるこの施設。
日中や特定期間、高齢者を預かってくれてとても助かる施設なのですが、トラブルもあります。
窃盗事件発生・・・どこにでも悪い奴はいるものだ
かつて祖母が日中だけ預かってもらう「デイサービス」を利用したときには、財布を盗まれる被害に遭いました。
元々その施設では以前から窃盗事件が何件か起きていたようで、施設を利用する高齢者の方には「あらかじめ財布を持ってこないように」とお知らせがでていたのですが、何故か祖母は財布をしっかりとカバンに入れて持ってきてしまいました。
しかもその日に限って5万円も財布に入っていたのですが、その財布ごと案の定盗まれてしまいガックリです。
ちなみに結局犯人は分からずじまいで捕まっていないのですが、恐らく施設の利用者なのでは?と思っています。
悪口バアサンに祖母はぐったり
高齢者になっても人間関係のトラブルはあります。
祖母曰く同じショートステイをしている高齢者に、ひたすら悪口を言っているバアサンがいるのだとか(笑)
祖母はそのバアサンが本当に嫌いで、一時期ショートステイに行きたくないと言っていたくらいです。
そしてそのばあさん、他人のティッシュペーパーを勝ってに使いまくるそう。
祖母も自分で食事のとき持って行ったティッシュペーパーを使いまくられて、そのときはかなりイラっとしたようです。
それ以来、使うだけのティッシュをポケットに入れて持っていくのだとか。
悪口ばあさんは口が悪いだけじゃなく手癖も悪いようですね。
ということは、もしかしたら施設内で起こっている窃盗事件もこのバアサン?(笑)
介護する側への家族のサポートが大切だと気付く
一見それほどの負担がなさそうに見える状況でも、やはり介護する側には予想以上の負担が精神的肉体的にのしかかっています。
施設内での財布窃盗事件のときも、母は祖母の精神的なケアや事件対応など、1日中対応に追われて大変そうでした。
介護する側のストレスが溜まるとやはり愚痴も増えてきます。
その愚痴のはけ口の先はやっぱり家族。
始めは母の愚痴に対して、「いやいや祖母の方が正しい」だとか、「だったらあーしたらいい、こーしたらいい」と良かれとアドバイスをしていたこともあるのですが、これは完全な間違い。
母だってもう全部わかっているし、アドバイスとかこちらの意見なんて不要なんですよね。
なので今は、ただただ愚痴を聞いて話を聞いて一緒に笑う、これだけで十分なのだと気づいてからはずっとそうしています。
介護はとにかく疲れるものなのだと母を見ていて思います。
家族としては直接サポートできればそれが一番いいですし、離れて暮らしている場合には話を聞いてあげるだけでも、ストレス発散になって立派なサポートです。
介護は身内のことなので、中々外で愚痴は言いにくいし、もしもご家族が何か話したそうにしているときは、一緒に笑いながら聞いてあげると嬉しいのではないでしょうか。
おわりに
家族が介護をしている様子を見たり聞いたりしていると、自分の親の介護、そして自分自身の老後について嫌でも考えさせられます。
介護なんてまだまだ先、ましてや自分が介護されるのなんて遠い未来と思っていましたが、気付けば家族で老々介護が始まっている現実。
今回は介護なんてやったことがない素人が、見て聞いたことをただただ記事にしただけなのですが、介護について考えるいい機会になりました。
親の介護、そして自分自身の介護。
正直介護なんて憂うつ過ぎてあまり考えたくもありませんが、自分はどう介護したいのか、両親はどう介護して欲しいのか、また自分の介護はどうされたいのか?
憂うつだからと逃げてばかりいると、いつの間にか何の対策も出来ないままに、その時がやってきてしまうのかもしれません。