僕は数年前にコールセンターで働いていたことがありますが、コールセンターほど働く前と後でギャップがすごい仕事も中々ありません。
ある程度想像していたつもりでしたが、そんなもんじゃありませんでした。
そこで今回は、これからコールセンターで働こうとしているあなたのために、働く前に覚悟すべきことをご紹介します。
コールセンターの種類として、商品やサービスを提案するためにこちらから電話をかける「アウトバウンド」と、カスタマーサービスなどの電話を受ける「インバウンド」がありますが、今回はコールセンターの中でも主にインバウンドの方についてご紹介していきます。
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コールセンターはアレとアレを酷使する肉体労働
キレイなオフィスで、PCの前に座って電話でお話する仕事。
きっとこのイメージだと思います。
間違ってはいません。
間違ってはいないのですが、常にアレとアレを酷使し続ける肉体労働なんです。
1つ目は耳
ほとんどの会社では片耳のヘッドセットを使用しますが、1日の勤務時間が8時間として、その間ずっとヘッドセットをした状態。
つまり『イヤホンやヘッドホンを8時間使用している』状態ということになります。
しかも周りでは同僚が電話相手と話しているため、まあまあな騒音の中で電話相手の声を聞きとらなければなりません。
そのため耳に悪いことはわかっていても、話している内容を聞き取るために、仕方なく音量も大きめにしがちです。
つまり『イヤホンを長時間大音量で』となれば、少なからず耳へ負担をかけることになります。
片耳だから大丈夫では?と思うかもしれませんが、慣れないうちは特に利き腕と反対の耳にヘッドセットの聞こえる部分をあてがちです。
右利きだと左耳ですね。
話の内容を聞き取りながら、目の前のPCにその内容を打ち込んでいく場合が多いのですが、相手の電話の声が小さい場合など、ヘッドセットを耳にギュッと押し当ててなんとか聞き取ろうとします。
その間も内容を打ち込んだり、相談内容の解決方法を同時に検索したりしなければなりませんので、どうしても右利きの方であれば、左手でヘッドセットを押さえ、右手で入力したりマウス操作を行わなければなりません。
そうすると、自然と左耳ばかりで聞くことになり、片耳を極端に酷使する状態になります。
ちなみに僕の場合は左耳ばかりで聞いていると耳が痛くなって辛かったので、2~3時間おきに右と左で交互に聞いていました。
右耳で聞いているときは、左腕を交差させるような状態でヘッドセットを耳に押し当てて作業をしていました。
長期間コールセンターで働いている方の中には、難聴ぎみになる方もいるので、せめて片方の耳にばかり負担をかけないように自分なりの工夫をするようにしましょう。
2つ目はのど
意外に思うかもしれませんが、耳と同じで8時間ずっと電話で話し続けるため、慣れないと帰るころにはのどが枯れることがあります。
特に地声が低い方は要注意。
いつも通りのトーンだと、感じの悪い印象になりがちのため、どうしても1~2トーン上げた声で話すことになります。
さらに活舌が悪かったり、日頃からモゴモゴ話す癖のある人は、意識して声を張って話さなければならないため、余計のどが疲れます。
ある程度慣れると地声のままでも大丈夫になったり、のどに負担がかからないような話し方だったり、意図的に保留時間を作って休んだり等、負担を軽減することはできますが、それでも長時間話し続けることで少なからずのどへの負担はあるでしょう。
カラオケに行ってすぐにのどを痛めるような方は、コールセンターで働く場合、日々のケアを怠らないようにしましょう。
評価制度に押しつぶされるな
コールセンターにはセンターとしていくつかの目標があります。
会社ですから当たり前ですが、クライアントに報告する際の具体的な数字として代表的なのは以下の3つです。
- どれだけ電話の対応をすることができたか。1日の電話を受けた件数や1件当たりの平均応対時間等。
- 対応の正確性。
- お客様アンケートの評価
その中でとにかく一番大変なのが「3.お客様アンケート」の評価です。
何かのカスタマーセンターに電話した後に、メールでアンケートが届いたことはないでしょうか?
あのアンケート、回答する方は適当に返すことも多いと思いますが、センターではめちゃくちゃ重要で、一番悪い評価でアンケートが返ってきた場合は、厳しいところではその都度個別面談があったりします。
アンケートを返したくなる時ってどんな時だと思います?
すごく対応がよかったときか、または逆に悪かったときです。
特に悪かったときはイライラも手伝って、めちゃくちゃ細かくアンケートが書かれていたりします。
はっきり言って初めて一番悪い評価が返ってきたときなんかは、落ち込むと思います。
その後どうなるか?評価が気になって1件1件めちゃくちゃ丁寧に対応します。
そしてストレスが猛烈に溜まり始めます。
その内、毎日評価が返ってくるのが怖くなり、お客様アンケートという名の暴力によって精神に大きなダメージを負います。
少し大げさに書きましたが、実際こうなる方もいます。
僕も評価はとても嫌でした。
出社後まず最初に当日までに届いているアンケート結果を確認していましたが、まさに恐怖の瞬間でしたね。
悪い評価の件数が増えていたりすると、その日1日はかなり落ちてました。
対応件数をこなし経験を積めば、少しずつ悪い評価は減って良い評価が増えてくると思いますが、それでも毎日お客様アンケートとの戦いは中々厳しいものがあります。
コールセンターによっては「お客様アンケートが無い。またはアンケートをそもそも確認する方法がない。」センターもあります。
さすがに求人情報にあるなしは載っていませんが、事前に調べたり、そこで働いている友人に聞いたりして、あらかじめアンケートがないコールセンターに行くのもありだと思います。
ただ個人的な感覚ですが、アンケート評価があるところの方が時給は高いような気がします。
またオフィス環境が良かったり、そのほかのサポート制度も充実していると思います。
時給が高くて「キレイでおしゃれなオフィスであなたも働いてみませんか?」みたいな求人を出しているところは、大体アンケート評価があると思った方がよいでしょう。
感情労働によるストレスに気を付けて
感情労働という言葉をご存知でしょうか。
いわゆる肉体労働や頭脳労働とは、別の形態として新たに分類された労働です。
人間の感情に労働の負荷が大きく作用し、労働が終了した後も達成感や充足感などが得られず、ほぼ連日、精神的な負担、重圧、ストレスを負わなければならないという点に感情労働の特徴がある。
簡単に説明すると、どんな相手であっても、自分の感情をコントロールし、負の感情は一切出さず、常に礼儀正しく、明るく前向きに対応しなければならない職業です。
ようはどんなに嫌な奴であっても、表面上は笑顔で接することが要求されるってことです。
これってコールセンターのオペレーターの仕事にぴったり当てはまります。
実際、感情労働の代表的な職業として、客室乗務員や看護師と並んで、コールセンターのオペレーターが併記されていることが多いです。
10件に1件の恐怖
コールセンターではそもそもクレーム対応や、不満を持った人が電話をかけてくることが多いため、それらに対応するだけでも大変です。
それでも大体の方は普通です。
適切な対応をすれば常識のある対応をしてくれますし、問題が解決したことで感謝さえしてくれます。
しかし多ければ10件に1件の割合でおかしなのが混じっています。
いわゆる感じの悪い人です。
感情的だったり、常識がなさすぎたり、自己中だったり、超上から目線だったり様々ですがどれも最悪です。
更にその中でも10件に1件。
全体では100件に1件くらいでしょうか。本当にヤベー奴に出会うことがあります。
日常で生活していたら絶対にこんな奴とは関わりたくないと思えるような人です。
とにかくクレームに命をかけているのかと思うほど激しかったり、異常にネチネチとした追求をしてくる、常に怒鳴っている、まともな会話ができないなど『本当にヤベー』という表現しかできないような人達です。
ただでさえ感情労働はストレスが溜まる職業なのに、数日に1回感じの悪い人や、運が悪ければヤベー奴と電話で話さなければなりません。
最初の内はなんとか仕事だからと我慢してやり過ごしても、その内電話自体が怖くなってくることさえあります。
もしかしたら次の電話はおかしな人なんじゃないか?次は大丈夫でもその次はどうだろうか?そう考えるだけでもうストレスはMaxです。
ストレスを乗り越えるには?
このストレスMaxの状況を乗り切る方法は慣れしかありません。
繰り返し表面上だけでも偽って対応していくことで、徐々に心の負担が減っていくようになります。
ただし多くの人は慣れる前に辞めていくことが多いです。
ちなみに僕は約1年ほど働いていましたが、辞める前にはいつの間にか後輩がたくさんいたので、まあまあ長い方だと思います。
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まずはサポート役という名の楽なポジションを目指せ
コールセンターは退職者が多いため、その分新しく入社してくる人もたくさんいます。
新人の間は一人で電話を受けることが難しいため、わからないことがあったときにすぐに確認できるよう数名に1人の割合でサポート役が付きます。
また新人以外でも、複雑な質問や判断が必要な問い合わせにスムーズに対応できるよう、サポート役が何人かいたりします。
もしも長くコールセンターで働こうと考えているのであれば、まずはこのサポート役を目指すべきです。
それなりに責任のある立場ではありますが、サポートとして業務をこなしている間は、電話に出られない(出なくてもよい)ため、正直楽です。
それでいて人によっては時給が少し高かったりするので、美味しい立ち位置とも言えます。
耳やのども痛めない。
精神的負担も少ないとなれば目指さない理由はないですよね?
コールセンター経験者は辞めてもまたコールセンターを選ぶ
コールセンターで働くとその半数くらいが、経験者だったりします。
他の業種でも同じですが、辞める時は「もう2度とコールセンターは選ばない!」と思って辞めます。
それでもなんだかんだ結局またコールセンターで働いていたりします。
なぜなのか?
コールセンターって条件だけ見ると結構魅力的なんです。
- 募集が多く、さらに採用人数も多いため比較的すぐに働ける
- デスクワークにしては高時給
- 経験がなくても、事前の研修制度が充実している
- マニュアル通りに対応していれば苦労せずにできそう
簡単に上げてみましたがいかがでしょう?
これなら働いてみたいと思いませんか?
コールセンターを辞めて違う業種の仕事を情報誌や転職アプリなどで探して見るものの、給料が安い、経験者優遇、営業はちょっと・・、接客業も・・、などなど選んでいくと結局コールセンターの募集を見てしまいます。
また自分の経験を一番活かせる職業は?って考えると結局コールセンターしかない!ってなります。
それに人は時間が経つと嫌な記憶はどんどん薄れていくものです。
今度はきっと大丈夫。ここならできる!
そう思って応募しちゃうんですよね。
ただ実際環境が変わったことで、長く働いている方も知っていますので、経験を活かして次の職場でスタートダッシュなんてのもありだと思います。
コールセンターで働くメリット
さてここまでコールセンターで働くための厳しい現実について紹介してきましたが、最後にメリットについてご紹介します。
コールセンターで働くメリット
- デスクワークなのに高時給
- 外資系で働けてオフィスがおしゃれ
- 実力主義なところも多く、頑張ればSVなど上をどんどん目指せる
- 話を聞く、わかりやすく回答するなどの基本的な接客が身につく
- 悩んでいたり、困っていたことが解決してお客様に感謝される⇒社会貢献ができる
- 採用人数が多いため同期が多く友達が増える。
- バンドマンと知り合いになれる⇒なぜかバンドマンが多いです。
- 元キャバ嬢と知り合える⇒高時給なためキャバ嬢卒業後にコールセンターを選ぶことが多いようです。
コールセンターでの仕事に向いている人
成績が良かったり、長く働いていたりする人には共通点がありました。
そこで最後にコールセンターでの仕事に向いている人を紹介します。
- マイペースでいい意味で適当。完璧主義の人はストレスに押しつぶされてしまいます。
- 要領がいい。上司などをうまく巻き込めるため自分の負担を減らすことがうまい。
- 物腰が柔らかい。生真面目すぎると機械のような対応になりがちです。
- 割り切ることができる。必要最低限の対応で終わらせることができる。相談者に親身になりすぎると、必要以上に説明したり、相談内容を聞いてしまいがちで、かえって対応が不十分になってしまうことが多いです。
- ひたすらたんたんと業務をこなせる。まるでAIのように、どんな相手でも微動だにせず電話対応を行える人。ある意味最強です。
- 向上心の強い人。がんばればマネジメント側にも行けるため、そこを目指してひたすら邁進できる人。
まとめ
コールセンターでの仕事は肉体的にも、精神的にも想像以上に辛かったり大変な仕事です。
それだけにある程度は覚悟して望むべきかなと思います。
それでも肉体労働や営業、接客業よりはどうしてもデスクワークをしたい。
事務的な仕事を少しでも経験したい方には、採用もされやすいのでおすすめだったりします。
耳やのどに気を付けながら、電話でのお客様対応にもうまく折り合いを付け、仕事とプライベートのオンオフをはっきりと分けることができれば、同期や先輩など仲間もたくさんいて楽しく働けると思います。
それでは、素敵なコールセンターライフがおくれることを願って、少しでもお役に立てれば幸いです。