
同族企業、同族会社や同族経営とも呼ばれますが、これからこの同族企業への就職や転職を考えている方はちょっと待て!
20代のころに職業訓練の職場実習を通じて、たった1か月間ですが典型的な同族企業で働いたことあるのですが、これが本当にやばかった。
「同族企業への就職だけはしないようにする」
これが職場実習で学んだことの中で最も役になった教訓。
就職先を決める基準の1つとして、同族企業であるかどうかは必ずリサーチすべきです。
同族企業なのか非同族企業なのかは、就職後の運命を決めると言っていいほどに、本当に重要な基準の1つ。
仮に同族企業だった場合は、より詳細にリサーチをしてから決めないと就職後に後悔をする羽目になります。
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いわゆる同族企業、同族会社とは?
同族経営(どうぞくけいえい)とは、特定の親族などが支配・経営する組織のことを指す。
家族経営およびファミリー企業とも称す。
要は企業の上位の要職を全て、親族で占めているような会社のことです。
法人税法上はもっと詳しく定義されていますが、企業の経営をもっぱら親族のみで決定している会社は同族企業と言っていいでしょう。
実はこの同族企業、想像以上に多くて、国税庁が毎年調査している「会社標本調査」によると、なんと96%以上が同族企業なんです。
fa-angle-double-right参考資料:平成29年度分「会社標本調査」 調査結果(※第11表 法人数の内訳に記載があります)
入社するとヤバい同族企業かどうかを見極める方法
「96%以上が同族企業なんてほとんどじゃん...」って感じですが、資本金が1億円以上の会社に限定するとその割合は50%くらいとなり大きく下がります。
上場しているような会社は、比較的少な目ということですね。
では実際どんな同族企業が入社するとヤバい会社なのでしょう?
同族企業であっても、上場しているような大企業であれば、比較的大丈夫なのではないでしょうか。
なんせ大企業ですから、その辺の非同族経営の会社よりは給料などの待遇面もいいでしょう。
問題は中小企業以下で、かつ創業時から同じ一族が永遠と経営しているような会社。
なんの経験もない社長の息子が突然やってきて、役員に就任するような会社ですね。
さらに他の経営陣も全て親族で固められていたら、もう疑う余地はありません。
もっと絞れば比較的歴史があって、その地方ではそこそこ有名な会社なんて条件が揃っている場合には、応募する前に綿密なリサーチ必須になるでしょう。
ある程度の社員数がいるのに、その中から役員や幹部を誰一人選出することなく、親族が長年に渡って経営権を独占し支配しているような会社は『ヤバい同族企業では?』と疑ってみたほうがいいと思います。
就職応募先の企業が同族企業かどうかを見極めるには?
- 企業の公式HPで会社概要を確認⇒役員が同じ名字かどうか確認する
- 登記簿謄本で確認⇒役員が同じ名字かどうか確認する
上記2つが主な方法でしょうか。
登記簿での確認は少々面倒ですが、大抵は公式HPで確認できるはず。
あとは会社名と社長の名前が同じとか、その地方で有名な会社なら知り合いに聞けば詳しい人がいたりします。
商店系の家族経営も同族企業?
広い意味では同族企業ですが、小規模な家族経営はまた少し種類が違います。
家族で営業している飲食店や、商店街にあるような○○商店などの商店系。
小さな工場を家族で経営している場合や、○○工務店など。
そもそもこのような小規模な会社であれば、自然と家族経営になるのは当たり前で当然の流れですね。
1か月間だけ働いた同族会社
僕が「ヤバい同族企業」に在籍していたのはたったの1か月だけです。
それなのに、なんでそんなにヤバいヤバい言えるのか?
それは実習先の会社が、絵に描いたような典型的な同族企業だったからです。
まさにその会社は「THE同族企業」。
今改めて思い出すと笑えますが、当時は「マジでこんな会社に1か月も通うのかよ」と絶望です。
いくら実習先に受け入れる会社が少ないからとはいえ、職業訓練校も何もこんな会社を選ばなくてもいいのにと、当時は本当に腹が立ったのを思い出します
で、その実習先の同族企業がどんな会社なのかというと、業種は、製造、工業系の会社で、従業員数は50~100人くらいでしょうか。
事業内容は詳しく言うとバレそうなので言えませんが、その地区ではそこそこ有名な会社です。
歴史もあり、まあまあ業績もよく、その地区の特定の事業を一手に引き受けるような感じですね。
製造系で歴史があり、地元と密接に関わっていて、経営陣を親族でガッツリ固めた会社なんて、そりゃあ典型的な同族企業が出来上がる下地は十分。
実習前に職業訓練校の講師の方と挨拶に行くのですが、まずその時点で違和感があったんですよね。
それが次の項目の、役員のデスクがズラーっです。
社員を見下ろすようにズラリと並ぶ役員のデスクに“ひいた”
実習先の会社はワンフロアで全従業員が働いているのですが、その配置がまあ典型的。
奥の方中央に社長のデスクがあり、その後ろ側に役員のデスクが横並びで10席以上が並んでいます。
もちろんそこにいるのは全員が同じ名字の親族。
しかも社長と役員の場所だけが少し高くなっており、まるで下界を見下ろす天上人のよう(笑)
残り50~100人くらいの従業員はその下で、永遠と天上人に見下ろされながら仕事をします。
それでもその役員連中が、てきぱきと働いているのであればまだいいのですが、そこにいるのは・・・もう定年をとっくに超えているであろうじーさんばかり。
そして、そのじーさん役員様たちが毎日何を“されている”のかというと、
まず定時より遅めに出社されます。
その後にゆっくりとコーヒーを嗜みながら、おもむろに新聞を広げてじっくりと熟読を開始。
時々新聞を読む仕事にお疲れになるようで、恐らく孫であろう写真をじっくりと鑑賞。
疲れを癒したあとは、また新聞を熟読する仕事に戻ります。
その後は、午前中の新聞を読む仕事の疲れを癒すためにランチへ。
ランチのあとは恐らくゆっくりと昼寝をされているのでしょう。
本来の休憩終わりからしばらく経って、ゆっくりとオフィスへお戻りになられます。
午後からはコーヒーと茶菓子を嗜みながらのまったり雑談タイム。
たまに下界へ下りてこられて、忙しく働く社員のみなさんへも声をおかけになられます。
そして気付けばいつのまにか退社。
本当に忙しそうですね......
毎日毎日、このじーさん役員の“まったりコーヒータイム”を横目に働かなければならない地獄。
忙しければ忙しいほどに、その姿を見るだけでイラっときていたのは僕だけなんでしょうか?
もう2度と、あのような異様なオフィスでは働きたくありません。
同族企業の坊ちゃん社長は例に漏れずプライドの高いワンマンなのである
同族企業の名物といえば、2世や3世の坊ちゃん社長。
なんの実績もないまま、会社にやってきたかと思えば突然上司となり、威張り散らすアレです。
実習先の同族企業も例に漏れず坊ちゃん社長でした。
ロクなマネジメント経験もないまま上司となり、さらにはエレベーター式で社長に就任。
年齢は35~45歳くらい。
髪型はわざとしているのかと思うくらいの真ん中分けで、軽く耳に掛かるぐらいの長さで、さらにツーブロック。
少し低めの身長をカバーするかのような厚底靴を履き、少し高めの耳障りな声でそれっぽいことを社員に指示。
電話の声は無駄に大きく、フロアに響く声がとても不快だったのを覚えています(笑)
配属された部署の社員さんに話を聞く限りだと、基本的には社長のトップダウンで全てが決まり、その日の気分で意見がコロコロ変わるようでした。
少しでも社員が意見を言うと顔を真っ赤にして怒り、プライドだけは一人前のようです。
創業者や2代目が大きくして軌道に乗せた会社を、使えない3代目が継いで会社が停滞する。
同族企業のあるあるですが、どうやらその当時、この会社も同じような状況にあったようです。
同族企業のじーさん役員が社用車で事故⇒経理担当者が必死に後片付け
先ほどご紹介した、新聞を熟読する仕事で忙しいじーさん役員の皆様。
たまに社員の仕事を増やす仕事もしてくれます。
僕が配属されたのは経理だったのですが、会社に通い始めて1週間くらいたったころ、先輩社員がいつもと違う様子で朝からバタバタしていました。
「今日は何かあるんですか?」と聞くと、役員が社用車で事故を起こしたとのこと。
何か大事な手続きでもあるのかと思ったら、単に「じじいが起こした事故の後処理」だったようです。
物損事故らしく、相手方に怪我がなくて幸いでした。
一通り事故処理が片付いたあと、普段は優しい先輩社員がボソッと「いるだけが仕事のじじいが仕事増やしてんじゃねーよ」と、思わず心の声が漏れてしまったようで愚痴っていました。
ここぞとばかりに僕も「そうですね!本当に邪魔ですね!」と応戦し、その後じーさん役員達の悪口で盛り上がって意気投合したのはいい思い出です。
- 同族企業のじーさん役員は通勤に社用車を使っている
- 同族企業のじーさん役員が事故を起こした場合、その後の処理は全て経理担当の優しい先輩社員が対応しなければならない
- 同族企業では事故の翌日も、じーさん役員はいつものようにコーヒーを嗜みながら、新聞を熟読する仕事をしてOK
- 優しい先輩社員もやっぱりじーさん役員が嫌いだった
ノウハウのない太陽光発電の営業をやらされる新人さん
ワンマントップダウン社長の指示で始まった太陽光発電部門。
これがまた酷かった(笑)
僕の実習が始まる1か月くらい前にこのプロジェクトが始動したらしく、僕と同じくらいのタイミングで営業担当として新人社員が入社していました。
年齢は当時の僕よりも年下でまだ20代前半。
太陽光発電部門は彼1人。
営業と事務を全て担当させられています。
まず何が問題かって、異業種のため会社にノウハウが全くありません。
そんな中で無謀にも営業に行かされる新人さん。
一応それっぽいパンフレットはあるようですが、営業資料はそれだけ。
その他の資料は新人さんが一から作っていました。
当然新規の顧客なんて早々できるわけもなく、毎日電話や訪問で必死に営業を行う新人さん。
結果的に僕がいた1か月の間に成約はゼロ。
何件かアポイントは取っていたようですが、成約には繋がらなかったようです。
新規事業なのに会社からのサポートはほとんどなく、なぜか20代前半の新入社員が担当させられるというカオス感。
日に日にやつれて元気がなくなっていく新人さんを見ているのは辛かったのですが、所詮研修でお世話になっているだけの僕には何もできることはなく、ただただ心配することしかできませんでした。
その後太陽光発電部門がどうなったのかは知りませんが、HPを見る限りだと該当ページがなくなっていましたので、恐らく失敗したのでしょう。
本来であれば会社として、事業計画から調査、スキームを組んだりと明確なビジョンを持って進める必要があるのですが、「そこは同族企業+坊ちゃんワンマントップダウン社長」。
当然そんなものはありません。
「あ!これいいかも!」「やりたいな~」の社長の一言で始まります。
その後に社長が率先して進めていくのならまだいいのですが、言いっぱなしのやりっぱなし。
新人さんには悪いですが、彼の疲れてやつれていく様子を見て、この会社に就職しても幸せになれる未来が全く見えなかったのは事実です。
同族企業ではどんなに優秀でも出世はよくて部長止まり
僕が実習でお世話になった部署は、経理や総務、法務など事務系の部署でした。
お世話になった先輩社員や課長さん、部長さんはとても優しくて、かつ頭の回転も速い仕事の出来る方ばかりでした。
トップが坊ちゃん社長でも会社が回るのは、この優秀な社員が会社を必死に支えているから。
け・れ・ど
悲しいかな、この会社はザ・同族企業。
出世はどんなに頑張っても部長止まり。
しかも、見た限りどの部署も上が詰まっていて、若手にチャンスが回ってくることはほとんどなさそうです。
毎日じーさん役員に見下ろされながら、必死に頑張っても出世の道が少なく、給料も中々上がらない。
これで一体どうやってモチベーション上げればいいんでしょ?
振り向けば坊ちゃん社長は今日も理不尽な指示を出し、じーさん役員はまんじゅう食いながら雑談に勤しむ。
毎日残業で帰りが遅くなる中、役員連中は今日もいつの間にか定時前に退社している。
控えめに言って若い人はこんな会社で働いちゃいけません。
同族企業がむしろ合う人は?
ここまで散々同族企業をディスってきたわけですが、逆に同族企業へ就職すると幸せになれそうな人はどんな人でしょうか?
1:職歴を作りたい人
職歴を作るために同族企業へ潜り込む。
これはブラック企業にも言えることですが、ずっと派遣やフリーター、あるいはニートだった人は、職歴がないため中々正社員になることができません。
そこで、正社員として働けるならもう同族企業だとかブラック企業だとか文句は言えません。
とにかくそこで3年以上働き、職歴を作り踏み台にしましょう。
特に事務なんて、中途は最低3~5年以上の職歴が必須だったりしますから、上手いこと潜り込めたらこれを利用しない手はないですね。
2:出世無用で副業命
これからの時代の新しい働き方ですね。
出世しても無駄に責任が増えてストレスが増えるだけ。
それならば出世なんか始めから望まずに副業に命をかける。
これなら同族企業でもよさそうです。
むしろ出世も望まずに、毎日淡々とどんな仕事でもこなすその姿は、経営陣からはまぶしく映るかも?しれませんね。
3:圧倒的なよいしょ上手
世の中にはコミュ力が高いだけじゃなく、よいしょが圧倒的レベルで上手な人がいます。
むしろそんな人は、同族企業で経営陣や社長から可愛がられる存在を目指してみるのも1つの手。
同族企業の親族たちからの信頼が得られれば、将来幹部にはなれなくても、ある程度の出世と待遇は約束されてむしろ安泰かも?しれません。
もしも同族企業で働くことになったら?
将来出世して上を目指したいのなら、すぐに転職先を探しましょう。
突然親族というだけで上司としてやってきて、能力がないのに上から目線で指示をしてくる無能な上司と仕事をしなければならなくなったのら、すぐに転職先を探しましょう。
親族というだけで圧倒的に優遇されている状況を目の当たりにし、毎日の仕事のモチベーションが上がらないのなら、すぐに転職先を探しましょう。
⇒結論:将来に期待が持てずモチベーションが続かなそうならすぐに転職先を探す
とりあえず怒られない程度に適当に働きつつ、裏で転職先を探すのがベスト。
正直な話、転職予定なら多少怒られても痛くも痒くもないですしね。
もらえる給料はもらいつつ、アホな社長や無能役員を横目に見つつ、目の前の仕事を淡々と5割ぐらいの力でこなすのがいいのではないでしょうか。
そして転職先が見つかったら、颯爽とおさらばしちゃいましょう。
ポイントは依存度を極限まで減らすこと。
転職先を探しつつ副業を始めるのもいいですね。
その会社が副業禁止?そんなの関係ありません。どうせ辞めるんですから遠慮なんて無用です。
逆に、意外と居心地もいいし、仕事のモチベなんてどうでもいいし、出世もどうでもいい。
そんなあなたはどこでもやっていけそうですね。
同族企業なんか気にせずにそのまま働きつつ、もしもキャリアアップがしたくなったら転職を検討してみてください。
おわりに
そういえば実習中に、じーさん役員と1度だけランチに行ったことがあります。
その日はじーさん役員に誘われて、僕と太陽光発電部門の新人さんと先輩社員の4人で会社近くの蕎麦屋へ。
じーさん役員は迷うことなく1人だけ高めの定食を注文。
僕を含めた3人はトッピングが1つだけの蕎麦。
「うはっこの対比!まるでいつものオフィスで見下ろされている状況まんまじゃねーか」て感じがして、今でも鮮明に覚えています。
定食のお刺身とエビの天ぷらは本当に美味しそうでしたね。
食事が終わってお会計。
わざと遅れてレジ前に行きお膳立てする僕ら3人。
上司を立てるのはサラリーマンとして当然のお仕事です♪
おもむろに「私がまとめて払うから」ってのを期待していたのですが、真っ先に自分の分だけ払って蕎麦屋を後にするじーさん役員。
無言で支払う僕ら3名・・・。
せっかく鼓膜が破けるくらい、気合の入ったお礼の挨拶も準備していたのですが・・・残念 (´・ω・`)
結局その後、お礼の挨拶をする機会もなく1か月間の実習が終了。
この会社の役員にとって「驕りや傲り」はあっても、「奢り」なんて文化は最初から存在しなかったようです。
ちなみにじーさん役員が社用車で事故を起こしたのは、その日の夕方なのですが、それは単なる偶然です(笑)